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SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2

SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_5425088.jpg
■旧 SIGMA 12-24mm 21mm付近 補正無(2008/06/5Dにて)

プロ向けの建築やインテリア系の雑誌や本をご覧になった方ならご存じのように、意図しない限りディストーションの有る画は掲載されて無いと思います。
設計者としては直線は直線であって、それが曲がることは場所によっては別のデザインに変わってしまうことを意味しますし、施工者としても施工精度を疑われ兼ねない可能性も有るわけです。
そういう意味で旧タイプは完璧とは言えないまでも、ワイド・テレ両端付近を除いて撮影後の補正がほとんど必要無い唯一無二の広角ズームレンズでした。
建築写真家の中にはあえて16-35や17-40を外し、旧型のSIGMA12-24を使っておられる方も多いのです。

決められたコストの中で、長所を残しつつ全体のグレードを上げていくことは素人目から見ても至難の業のように思えます。
確かにディストーションに関しては後処理で補えることも多いですから、落としどころをこの辺りにしたのかなとも思いますが、後処理は微妙に画角が変わってしまいますし、レンズメーカー製の場合はカメラメーカー純正ソフトでは補正がききません。
旧タイプの一番優れた部分に価値を認め使ってきた者からすれば、全体の性能の底上げは出来てるものの普通のレンズになってしまった今回のリニュアルには疑問が残るところです。



■新 SIGMA 12-24mm/12mm 補正無
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_5582480.jpg


■新 SIGMA 12-24mm/18mm 補正無し
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_601376.jpg


■新 SIGMA 12-24mm/24mm 補正無し
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_60536.jpg
個人的には比較的多用する24mm付近ですが、糸巻き型の歪みが出てます。
ニコン14-24やトキナー16-28ではほぼ完璧な焦点域なので、特に頑張って欲しかった部分です。

どれも手持ちでかなり好い加減に撮ってますので、その辺りは差し引いてご覧下さい。
テレ端は家庭内の障子で試写した時はもっと醜い収差が有るように感じたのですが、そうでもないようです。障子が歪んでたんでしょうか。(^^;)

真ん中下付近に太い目地が有るのですが、中央辺りで上に持ち上がった変な歪方をしてますね。
わかりにくいですが上部や左右にも同様の歪みが見られますから、↑の12mmと18mmの場合は
外側は樽型の歪みなのに中央部は軽い糸巻き型の歪み同居がするとても厄介な状態になっているようです。
これを手動で補正することはほぼ不可能ですが、↑の24mm域のような歪曲率の違う糸巻き型が同居する場合はシルキーピックスのディストーション補正を使い、中央と周辺の効き具合を微妙に調整すればかなり改善はされそうです。




■新 SIGMA 12-24mm/12mm Lightloom3でNikon14-24のプロファイルを適用
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_6131459.jpg


■新 SIGMA 12-24mm/18mm Lightloom3でNikon14-24のプロファイルを適用+微調整
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_850243.jpg


■新 SIGMA 12-24mm/24mm Lightloom3で手動補正
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_6164621.jpg

Lightloom3には各社レンズのレンズプロファイルが登録されてるのですが、当レンズは未だ公開されていません。
既存のデータを色々当てはめてみると20mm辺りまではNikon12-24/F2.8のものをベースに微調整すれば結構使えそうですが、中央部の糸巻き型の歪みは解消されてません。
やはり専用のレンズプロファイルが必要のようですが、・・・それでちゃんと補正できるかどうか
不安は残りますね。


■旧 SIGMA 12-24mm/13mm付近 補正無(2008/06/5Dにて)
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_6242468.jpg
左のタイルの縦目地で歪みがわかりますが、少しだけ補正すれば使えます。


■新SIGMA 12-24mm/12mm付近 補正無
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_6263136.jpg

周囲の垂直水平面が微妙に湾曲しています。


■新SIGMA 12-24mm/12mm付近 Lightloom3でNikon14-24のプロファイルを適用
SIGMA 12-24mm F4.5-5.6 II DG HSM 実写2_a0157609_6292828.jpg

これなら何とかいけそうです。

個人的にはこのレンズの使い方が有る意味特殊なので、ディストーションに関しては厳しい目で見がちですが、普通に風景などを撮るには何ら問題は無いレンズだと思います。
逆光に対しても小さなゴーストが出る程度で、同じ出目金レンズのTS-E17とほとんど変わらない感じです。
色収差は旧型同様皆無ですから、この点は純正(17-40)を凌駕してます。
シャープネスや解像力も17-40とほぼ互角、多くの方は満足出来ると思います。
明るさが許容出来るならフルサイズ前提で買いのレンズだと思います。
by idosan2 | 2011-08-28 06:33 | カメラ